＋注意＋

遅くなりましたが、MAINBBSの怪談ででてたお話です。
読む覚悟ができた方からどうぞ！

by.ラゼル

＜世にも奇妙な占い＞

「ふぅ……おいしい。」
　オートマタが仕入れてきた紅茶を飲み干し、一息吐く。
窓から流れてくる心地よい風に目を細めると、香りしか残っていないカップが目にとまる。
「ん……おかわりは……。」
　小さなポットを手に取り、傾けるが……紅い雫がポツリ、と落ちるだけだった。
観念したようにカップとポットを持ち立ち上がると、下の階──レジェンヴィスのキッチン──へと向かっていった。





「あ、ラゼル。どうしたの？」
　階段を下りてキッチンのほうへ向かうラゼルに、声がかけられる。
声の元を向くと、セツナがいた。その隣には、陽だまりの唄のニニスの姿もあった。
「ラゼルさん、こんにちは。」
　微笑み、お辞儀するニニス。
「こんにちは、ニニスさん。お茶が無くなったから、淹れなおそうかと思ってね。」
　ニニスに挨拶を返し、セツナにカップとポットを見せて答える。
「これから、人の＜力＞を見抜くという占いに行くのですが、ラゼルさんもいかがですか……？」
「＜力＞を見抜く……か。ちょっと気になるし、俺も行こうかな。」
　ラゼルの返事を聞き、セツナが口を開く。
「じゃぁ、決まりだね！玄関で待ってるよ。」
　踵を返すセツナと、それを追いかけるニニスを見送り、ラゼルも食器を片付けにキッチンへと消えていった。





「ここ……みたいですね。」
　ニニスの案内でたどり着いた店は、昼間なのにやや暗い通りにあった。
「なんだか、ちょっと怪しいね……大丈夫かなぁ。」
「まぁ、占いだし大丈夫だろう。」
　怪しむセツナの隣で、気にすることなく扉に手をかけるラゼル。
扉を開くと、やや暗い店内からひんやりとした空気と、独特な香りが漂う。
「いらっしゃい……ささ、私の前へどうぞ。」
　声に誘われ、3人で占い師の前へと進む。3人並んで長いすに腰かけると、続けて占い師が話し始めた。
「私は、その人の持つパワーを見ることができる。ただ、どんなパワーが見えるかは……分からないよ。」
　セツナ達の前で、黒いローブを纏い、ヴェールで顔を隠した姿で話し続ける。
「御代は、どんな結果でも一人500ruthだよ。誰が見て欲しいんだい？」
　その言葉に3人顔を見合わせるが、意を決したように、ニニスが手を上げる。
「では……私からお願いします。」
　緊張した面持ちで、占い師の正面に座るニニスと、彼女を挟むように左右に控えるセツナとラゼル。
3人の視線が集中する中、占い師は俯き……ゴソゴソと眼鏡のようなものをつけ始めた。
そして、ニニスをヴェール越しに見つめ始める。
「……ニニスさん。あなたの持久力は134万です。」
　占い師の口から、鑑定結果が伝えられる。
「持久力、ですか……？」
「134万と言われても、すごいのか良く分からないな。」
「134万って、すごいんじゃないかな？」
　突然の持久力鑑定に驚くニニスと、数値の大きさに戸惑う2人であった。
「そっちの2人もやっていくんだろう？そうしたらもっと分かりやすくなるさ。」
　占い師の言葉を受けて、今度はセツナが正面へ座る。
「よろしくお願いします。……何言われるんだろう。」
セツナが正面に座ったのを確かめると、またも眼鏡のようなものをかけて見つめ始める。
ヴェールで良く見えないが、じっと見つめられてセツナの表情が強張る。
「……セツナさん。あなたの人間力は123です。」
「えっ……！あ、いや、僕はエルフだけどさ。」
「123……ですか？」
「ニニスさんと桁が違うんだけど……。」
人間力という曖昧な力と、その数値の低さに3人ともどう反応すべきか戸惑ってしまっていた。
「ラゼルさん、あなたの女子力は731万です。」
ふいに、ラゼルの鑑定結果が告げられる。
「「「……え？」」」
「ラゼルさん、あなたの女子力は731万です。」
3人のリアクションに、同じ言葉を繰り返す占い師。
「私の持久力よりも高いですね……。」
「ラ、ラゼル……女子力って……！」
「……女子力731万ってどういうことなんだ……。」
ラゼルの女子力に驚くニニスと、笑いを懸命に堪えるセツナ、そして、呆気に取られたラゼルを見て占い師が手を差し出す。
「鑑定料、3人で1,500ruthだよ。」





「……で、でも！ラゼルさん御菓子作りとかできますし、女子力ありそうですよね……！」
「……ニニスさんも、武器持って戦うし持久力はあるよね。」
「あはは……皆、結果すごかったね……。」
　支払いを終え、レジェンヴィスへの帰り道。お互いの結果について話ながらギルドを目指す。
木製の扉を開けると、元客席だったテーブルにシーナ・オファニエルとハレルヤ・T・ヴィクトラがいた。
「おかえりデス＾＾ｗ」
「おかえり！盛り上がってるけど、何か楽しいことでもあった？」
　ニッコリと迎えるしーなと、３人の様子に身を乗り出すように興味を示すハレルヤにニニスが微笑む。
「少し変わった占い師さんに、セツナさんとラゼルさんと行ってきたんです。」
「変わってるのは少しじゃ済まない気もするけどね。」
　ニニスの言葉に、ラゼルが苦笑しながら付け加える。
「はは、ラゼルは女子力が731万なんて言われてたしね。」
「女子力って、男の人なのに変かも～＾＾；；」
　それぞれの占いの結果や感想を聞きながら、考え込む様にしていたハレルヤがふいに動いた。
「しー姉！あたし達もその占いやりにいこう！」
　大きな声で宣言しつつ、しーなとセツナの手を取り走り始めるハレルヤ。
「え、ちょ……ハレルヤ！？」
「セツ兄、案内よろしく！」
戸惑うセツナとしーなを引っ張るようにギルドを飛び出して行くハレルヤを、ニニスとラゼルはただ見送っていた。




　その夜、指導力787万と占われたハレルヤによって、騒ぎが起こったとか起こらなかったとか。
「セツ兄！１日マスターとかやってみたい！」




－おわり－

あとがきではなく、ネタばらし

呼ばれて無いけど飛び出る、セツナです！
今回のおはなしは、もともとTwitter関連の診断遊びから始まりました。
それをニニスさん、ラゼル、僕、そしてハレルヤがそれぞれやってみたところ、上記の結果に……（笑
気になるヒトは、ラゼルに詰め寄ったら教えてくれるかもしれません、ということで！（投げっぱなしジャーマン

by.セツナ