※前書き

この物語はフィクションです
紅＠アクラのエターナルデザイアーでの物語に至る過程をイメージしたショートストーリーです
著者にとっては二作目ですが、時間軸としては前作よりずっと以前、イススィールに訪れる前ということでエピソード0という位置付けになります
また、キャラ設定章としての位置になりますので説明的な文面が多いです
まだまだ拙い部分も多いと思われますが、多少なりとも楽しんで頂けたら幸いです

本編に入る前に切り分けの為の解説を少々
　キャラクター：「～」　→そのキャラクターが声に出して喋っている台詞です
　キャラクター：（～）　→そのキャラクターが心の中で思った言葉です

以下より本編です

by.アクラ

・・・
日光がほぼ真上から照らす頃、イススィール島の船着場にて

　女性：「ふぅ・・・　漸く到着しましたか　さてどこから見ていけば良いかな・・・」

彼女の名は『アクラ・エルヴァス』
イススィールに到着した船から降りた彼女は島の中心に目を向けて考えていた
否、目的を成す為にはどうすれば良いのか解らず途方に暮れているのだった

　アクラ：「・・・　とりあえず適当に観光といきますかっ　・・・　この島危なかったりするのかな・・・」

彼女がイススィールを訪れたのはある出来事が起こったからであった
それは時を遡ること数日前
・・・

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・・・
未だ日の高い頃合い
アクラはイススィールから遠く離れた国に居た
耳を澄ませば波音の聞こえてきそうな港町
人の行き交う道を店を眺めながら歩いていた

　アクラ：「ぁ　このぬいぐるみ可愛いなぁ・・・　でも汚れちゃうといけないから先にご飯食べてからにしないとか　どこがいっかな～♪」

ウィンドウ越しに梟のぬいぐるみを眺めた後にまた歩みを進める

『アクラ・エルヴァス』
彼女はこの港町より内陸で生まれ育ち、魔法の研究をする為に各地を一人で旅していた
魔族の父と精霊の母の間に生を受けたアクラは、幼い頃より闇の精霊と心を通わすことが出来た
その為、闇の精霊の力を借りて極めて攻撃的な闇魔法を扱うことに長けていた
成長と共に精霊と魔法の関係に興味を抱き、自らの魔法は元より各地の魔法具の研究をする為の旅に出たのであった

この日もアクラは研究の為に使えそうな魔法具を探して街を歩いていた

　アクラ：「港町だからお土産屋さんっぽいお店は結構あるんだけどなぁ・・・　やっぱりちゃんとした魔法具とかは少し裏道探した方が良いのかなぁ・・・」

並びの店を眺めながら呟くアクラ
歩いているうちに古びた店のショーウィンドウに貼られた貼り紙に目がいった
「願いを叶える秘宝の島、イススィールより魔法具入荷。現品のみの販売につきご購入はお早めに」

　アクラ：「願いを叶える秘宝・・・　・・・　さすがにこれは入荷してないかなぁ・・・」
　アクラ：「・・・　骨董品屋さん？　ぃぁ魔法具って書いてあるから魔法具屋さんなのかな・・・　まぁ何か面白い物あるかなっと」

アクラは古びた魔法具屋に足を踏み入れた

　アクラ：「ごめんくっださいな～っと　・・・　お休みなのかな・・・？」

店内は薄暗い灯りに照らされて見通しが悪かった
入り口のドアから差し込む光が無ければ入り口すら見失ってしまいそうな程に薄暗く、様々な道具が並べられていた
アクラは魔法具の置かれた棚の間を進んで行く

　アクラ：（・・・　結構広いなぁ・・・　一通り見てたら結構掛かりそうですし先にご飯食べてからにするんだったかな・・・）

入り口から差し込む光が僅かばかり見える程度にまで奥へ入った辺りで、アクラは幾つかの魔法具に目を惹かれた

　アクラ：「綺麗なドレスだなぁ・・・　銀炎のドレス？　火の魔法を支援するドレスかぁ・・・　私に火の力はありませんけどもこういうのは普通に着てみたいなぁ・・・」
　アクラ：「ブードゥードールか　呪いで相手を襲う人形・・・　今日の研究素材はこれでいこうかなぁ・・・」

アクラは眺めながら、或いは壊さないよう注意して触れながら研究する魔法具を選んでいた

　アクラ：「風のオルゴール・・・　勝手に鳴らしたら怒られちゃうかなぁ・・・　でもお店の人が居ない・・・」

カタンッ
アクラがオルゴールを開けようと蓋に手を掛けた瞬間、少し奥で物音が聞こえた

　アクラ：（・・・っ　勝手にオルゴール開けようとしたのばれちゃったかな・・・）
　アクラ：「・・・　お邪魔してま～す　お店の人です・・・？」

恐る恐るアクラは物音のした方へ声を掛ける
・・・
返事が無い
そもそも人の気配がしない
アクラは物音のした方へと少しずつ歩み寄っていった

　アクラ：（・・・　鏡・・・？　やたら大きいですけど説明書きが無いなぁ・・・　これは魔法具じゃないのかな・・・？　物音はこの辺りだと思うのですけども・・・）

アクラはその身より巨大な楕円形の鏡に全身を写されていた
鏡面に触れて調べてもおかしなところは見当たらない
鏡の頭頂部に真紅の宝石が埋まっているだけのシンプルな造りであった

　アクラ：「・・・　気のせいかな・・・」

・・・
一瞬、鏡に埋められた宝石が鈍く光った気がした
クラッ

　アクラ：「・・・っ」

不意にアクラの膝が折れる
アクラは何が起きたのか理解できないままに意識を失い、その場に崩れ落ちてしまった
鏡は鏡面にアクラの姿を写しながらただその場に佇んでいた
・・・

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・・・
古びた魔法具屋の奥の鏡の前でアクラは目を覚ました
入り口と思われる方向には光が見えないことから、既に日が落ちているであろうことだけは解った

　アクラ：（・・・　なにが起こったのかな・・・　・・・　・・・？　・・・っ　あれ・・・　身体が動かない・・・）

アクラは動けないことに気付くと、まずは何が起こったのか知る為に周りの状況に目を向けた
身体の自由はほとんど利かなかったが、僅かばかり頭が動かせることは解った
ふと、アクラの前に佇む巨大な鏡に写る自分が、そもそも鏡に写る影が明らかに不自然であることに気付いて戦慄した

　アクラ：（・・・っ　このお婆ちゃんは・・・っ　鏡には写ってるのに・・・　私の側に居ない・・・っ　ぃぁおかしいのはそれよりも・・・）

鏡には一人の老婆が写っていた
老婆はアクラを抱き抱えていた
そう
アクラは今うつ伏せに倒れていた
にも関わらず鏡の中の自分は老婆に仰向けに抱き抱えられている
そして自分の側には鏡に写ってるような老婆は居ない

　アクラ：（・・・　これは鏡じゃない？　でもそうすると今写ってる私は・・・　そもそもあれは私じゃない・・・？）
　老婆：「いいや、おまえさんの目の前にあるのは鏡じゃし、写ってるのも確かにおまえさんじゃよ　ふぇっふぇっふぇっ」
　アクラ：「・・・っ」

アクラは声を出していなかった
否、アクラは目を覚ました時から声が出せずにいた
声の出せないアクラの考えたことに対して、鏡に写る老婆が答えたようだった
アクラは驚きながらも、この老婆が自分の心を読んで、その疑問に答えたのかを確かめずにはいられなかった

　アクラ：（・・・　お婆ちゃんはお店の人です？　それにそれが私なら、私に何が起こったのでしょう・・・）

アクラは心の中で老婆に質問を投げ掛ける
アクラの心を読んでか読まずか、老婆は口を開いた

　老婆：「残念じゃが未だ教えてやることはできなんだ　あたしは見ての通り非力じゃからのぉ　あたしの能力がばれる可能性があることを話すわけにはいかんのでなぁ」
　老婆：「じゃが安心するが良い　あたしはおまえさんを傷付けるつもりはありゃせんでな　無事帰してやることだけは約束できるぞぃ」

安心なんてできなかった
自分に対して自らの能力を悟られまいとする老婆の、おそらくは今の状況に関わる能力を持つ老婆の言葉で安心なんてできるわけが無かった

　老婆：「ふぇっふぇっふぇっ　そう警戒せんでもよい　用が済んだらあたしは消えるでのぉ　そしたらおまえさんも動けるようになるじゃろうて」
　アクラ：（・・・　用？　・・・　何かをしているようには見えないのだけれど・・・　だとすると何かを待っている？）

アクラは老婆に心を読まれているかもしれないということを忘れて考えを巡らす
あまりにも解らないことが多すぎて考えて解るようなことではないと理解しながらも、このまま動けずに得体の知れない老婆の言葉を信じて時が過ぎるのを待つというのは不安で仕方無かった

　アクラ：（・・・　何を待ってるかは可能性がありすぎて考えるだけ無駄か・・・　それなら・・・　鏡に写ってる私が関係あると見るべき？　私が抱き抱えられている意味・・・）
　老婆：「・・・　そろそろかのぉ・・・　おまえさん中々良い線行ってたんじゃがのぉ・・・　どうやら時間切れのようじゃなぁ」
　アクラ：（・・・っ　間に合わなかったのか・・・　でも・・・　一体なにを待っていて・・・）

アクラは辺りを見渡すが何かが変わったようには見えない
何も変わっていないように見えるその状況で、老婆は時間切れと言った
何かが起こったであろう状況で、何も起こっていないように見えることで逆に恐怖を感じずにはいられなかった

　老婆：「ふぇっふぇっ　あたしが抱いているおまえさんはのぉ　鏡の中のおまえさんじゃよ」
　アクラ：（・・・？　鏡の中・・・？　このお婆ちゃんは鏡の中を動ける魔族？）

時間切れになって隠す必要が無くなったのか、老婆はゆっくりと語り出した

　老婆：「このおまえさんはな　鏡に写った虚像のおまえさんを器にしてのぉ　鏡の外のおまえさんの魔力を少しずつこっちに移しておったんじゃよ」
　アクラ：（・・・っ）
　老婆：「つまりおまえさんの魔力はのぉ　今あたしが抱いているこっちのおまえさんに集められたってことじゃな　ふぇっふぇっふぇ」

魔力が奪われた
それに気付いたアクラはすぐさま取り返そうとした
取り返そうとしたがアクラは未だ動けずにいた
老婆は「自分が消えたら動けるようになる」と言っていた
つまり老婆が居る今は未だ、アクラは動けない状態が続いていた
老婆が消えてから動けるようになったんじゃ間に合わない
アクラはどうにか動こうと必死にもがいていた

　老婆：「ふぇっふぇっふぇ　動きとうて仕方無いようじゃのぉ　分かった分かった　今動けるようにしてやるでのぉ　もうあたしの用は済んだわぃ」
　アクラ：（・・・っ　待って・・・っ　返して・・・）
　老婆：「じゃあのぉ　おまえさんとは二度と会うまいて　ふぇっふぇっふぇ」

まばたきした一瞬
鏡に写った老婆は消え、うつ伏せになっている自分が写っていた
鏡はアクラをただそのまま写しだすだけの鏡へと戻っていた

　アクラ：「・・・っ　闇の精霊、力を貸してっ　漆黒の闇でこの鏡を壊してっ　ダークレイドっ」

アクラは老婆がどこへ消えたのか解らなかった
でも未だこの鏡の中に居るかもしれない
そう考えたら鏡を壊さずにはいられなかった
アクラは目の前の鏡へと闇魔法を放とうとした
放てなかった
魔力は奪われているのだから当然であった

　アクラ：「・・・っ　ぅぁ・・・　うわぁぁぁぁぁーーー　返してっ　返してよ私の魔力・・・っ　返して・・・　ぐすん・・・」

アクラは堰を切ったように泣き叫んで鏡を叩いた
非力なアクラの力ではこの鏡は壊せない
叩いたからといって老婆が出てくるとも思えない

　アクラ：「・・・　くすん・・・　かえ・・・して・・・」

アクラは鏡にもたれ掛かって泣き崩れた
鏡に埋められた宝石は淡い光を放ちながら輝き続けていた
・・・

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・・・
闇夜が明け、日が昇って間も無い頃、アクラは未だ魔法具屋に居た
鏡の老婆に魔力を奪われた後、何か手掛かりが無いかと魔法具屋を一通り調べたアクラだったが何も見つけられなかった
途方に暮れていたアクラは暫く店の中で立ち尽くしていたが、ふと表に貼ってあった貼り紙を思い出した

　アクラ：「・・・　表の貼り紙・・・　願いを叶える秘宝・・・　本当に叶えられるなら・・・　私の魔力も取り戻せるかも・・・っ」

願いを叶える秘宝の島イススィール
アクラはこの島への船を探すべく、船着場へと駆け出していた
ただ何かにすがり付きたい一心で

・・・

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・・・
時は進み、イススィール島の船着場へと移す
イススィール島へ定期便が出ていたので、さして労せず島までは来ることができた
船の中で解ったことであるが、アクラの魔力は失われていたが、精霊と心を通わせる力は残っているようだった
今でも闇の精霊と話せるし、闇の精霊の魔力を借りて初歩的な魔法を使うくらいはできた
問題はこれからだった
アクラは願いを叶える秘宝がこの島のどこにあって、どんな物なのかを全く知らなかった
島の中心へと歩き始めるアクラに、一人の女性が歩み寄ってきた

　女性：「はじめまして、私はミュウ。」
　アクラ：「おこんにちわですね　私はアクラといいますよぉ　ここは綺麗な島ですね～♪」

ミュウと名乗る女性との出会い
ここからアクラのエターナルデザイアーを巡る旅は幕を開ける
・・・

To Be Continued

※後書き

最後まで読んで下さった方お疲れ様でしたっ
今回のSSは執筆始めたのが2010年の年末なのに完成は2011年のGWという体たらくっぷりでした
執筆開始当初から頭の中では全体構成できてたのに中々文面に書き出せずにいたら・・・
結局エターナルデザイアーで本編クリアが近付いてから慌てて書き上げたという
さらに前回SS直後くらいを描くEpisode 2の構想もあったのですけどこの分だとお蔵入りか・・・っ
また筆が進めば書き綴りたいところですけども
最後に、まだまだ拙い私のSSを読んで下さってありがとうございました
壁]－)ﾉｼでぁまた機会があればよろしくお願いしますです♪

by.アクラ