この島に来る、少し前のこと。
すごくすごく、長い夢を見たんだ。

家族以外の大勢のヒト達と、一緒に過ごした。
ずっと盲信していたなにかを捨てて、重大な決意をした。
何かとてつもなく強大なものに、信頼している仲間と共に立ち向かった。

…何処で、何があって、何をして、何を思ったか。誰に逢ったか、それは…思い出せない。
でもこの島に着いてから、いろんなものに、既視感があって仕方ない。
きっとあの長い夢は、予知夢だったんだなって思うことにした。

でも。

ずっと離れ離れになっていた弟のユテルと再会して…その先輩のラゼルと出会って、
この島での仮住まいでも見つけようかと、不動産屋さん（…というのだろうか）に相談しに行くと
「セツナさんですよね、久しぶりです！…え、住まい？あんなに大きな建物をお持ちなのに？」
人違いだと思ったけど、見せてもらった書類はどうみても僕の情報、僕の筆跡。
仕方なくその建物に案内されると、…また、既視感。

埃が凄かったけど、かなりしっかりした―恐らくもともとは喫茶店だ―建物だった。
掃除をしていると、何か紙切れを見つけた。

……ギルド名ア…ケートの結果…す…、
結…………けたカンジになったん……、
「Legenvis」（レジェンヴィス） ……定し…………います。
あらた………補を出してくれた……………た方、
ありがとうご……ましたー！！

…僕の、筆跡。
紙片を見つめていると、不安げな声が聞こえた。
「えーと。誰かいますか？」
ピンクの髪が印象的な女性。初めて逢ったはずだ。…でも、既視感。
…ピンクの髪の女性…しーなさんは、僕のことを知ってた。ここは、ギルドだったらしい。
その後も僕を知ってる色んなヒト―茶色の髪の男性や、金髪の元気な少女―に出会った。

ここにヒトが集まるのは、僕を知ってるのは、偶然じゃないはずだ。
なら、この建物で大勢の仲間と、話したり色々したことは、単なる僕の夢って訳じゃないはずだ。
記憶なのか、夢なのか、それとももっと別の…何かかもしれないけれど。

それが何なのか判らなくても、もういいや。とにかく皆が集まって、過ごせる場所。
あの紙切れは、きっと夢に出てきたあのときの僕が相談したもの。それなら。

――ギルド「Legenvis」、本日より、運営開始！

…なんて、ね。